FARM | Okubo Farm

大久保農園:お客さんとの信頼関係から生まれた柑橘は豪雨被害にも負けず

2018年9月8日 Farmer’s Market@UNUが始まって丸9年を迎えるこのタイミングで、開催当初からずっと参加してくれていた愛媛県宇和島市吉田町の柑橘農家、大久保農園へと赴いた。7月7日の西日本豪雨の被害もあり、TOKYO BINZUME CLUBでも継続的に力になれたらと思い、現地を見ながら直接会って今後の話を中心に・・・と思ったものの、休みなく続く町の復興作業の疲れを癒すためかのごとく、昔話やたわいもない会話も多い1日だった。

 

TOKYO BINZUME CLUB:そういえば開催当初の2009年から出てますが、なんで出店しようと思ったんでしたっけ?

大久保さん:2009年はちょうど、自分が別の仕事辞めて実家のみかん園に戻ってきたタイミングだったんだよね。宇和島市吉田町って柑橘の一大産地の一つなんだけど、どんどん売り上げが減少していってて、それでこのままじゃダメだと思ってね。それで自分たちの作る柑橘を直接東京で売って、お客さんの意見も取り入れて、農業をやっていかないとなと思って売り場を探している時に、インターネットで調べたらFarmer’s Market@UNU出てきたんだよね、確か。

—それにしても、よくこれまでずっと続けて出店してくれましたよね。それは本当に嬉しかった。毎週愛媛から出店し続けるのって実際大変ですよね?僕も今回車移動で10時間半かかりましたし。

大久保さん:いや本当に、よくやってたなぁって思うよ(笑)でもどれだけ売れなくても、なんでかわからないけど二年間は頑張って続けようって決めてたんだよね。最初はやっぱり「愛媛から車で来ました!」って言う方がお客さんにもインパクトあるなと思って、毎週車で往復してた。今はもうできないなぁ、体力が保たない(笑)

 

—二年間は続けようって決めてたと言っても、実際はもっと続いてましたよね?今でもたまに出店してくれますし。

大久保さん:そうだね。正直、二年経つギリギリくらいまでは赤字だった。まぁ持ってく量も少ないのに、車や飛行機で毎週行ってたから当たり前なんだけどね(笑)でも地道にFarmer’s Market@UNUで販売し続けた結果、そのギリギリのタイミング、つまり2011年末に常連となってくれた人たちからたくさん注文が入ったのよ。やっぱり続けることに意味があるし、自分たちが作ろうと思っている味は認めてもらえているってそこで思えたから続けてこれたね。

 

—確かに持ってくる量が毎回異常に少ないことが気になってました。なんでなんですか?

大久保さん:畑を見てもらうとまばらに実がついているから分かるかもしれないけど、自分が美味しいと思うタイミングじゃないと収穫しないのよ。普通の農家なら一気に収穫して量を売るところを、自分としてはその一時の売り上げをあげても、味が納得できるものじゃなかったら、お客さんにマイナスなだけじゃないかと。あとは青山でお客さんや料理人、いろんな人と話していて学んだのは、その人にとって必要な大きさや味わいがすごく多様だということ。だから基本的にはFarmer’s Market@UNUで販売する以外の出荷分は注文が入ってから収穫するように変わっていったかな。


ただ「注文」といっても、いわゆる市場の注文みたいに規格サイズで選別してそれを何キロください、といった方法では注文は受けていなくて、基本的にはまず果物を何に使うか相手からしっかり聞き出すんです。「それならこういうものが合うだろう」と畑をまわりながら、味見しながら決めて、それで収穫して送るというスタイル。あとは一般家庭からの注文は「美味しいやつできたら一ヶ月ごとくらいに〇〇円分くらいを適当なタイミングで送って!」とゆるいレベルの内容であることが多いんです。お客さんが僕が(出荷数がまちまちなのを知っていて)対応しきれないのをわかってるのかな。
だからこちらも、絶対に美味しいものを作って送らなきゃ、という意識になっていった。信頼関係でどんどん果物の作り方も変わっていったかなぁ。青山で販売してこういう体験をしていく中で、農薬は一切使用しなくても大丈夫な農法に変えていくようになったね。

 

 

 

—そう考えると、だいぶ他の農家さんとは違う販売・収穫方法ですね。いつも山にいることになりそう。

大久保さん:本当にそうだよ。草も手刈りだから、刈ったそばから生えてくるし、収穫もいつも見てまわりながらタイミングを伺ってる。だから7月7日の豪雨以降は町の土砂を片付けたりいろんなことで時間を取られてるから、二ヶ月間一切農作業ができてないねぇ。山道の橋が崩れたところがあるからまだ行けてない畑もあるし。今日もう一回見に行ってみようかなぁ。

 

—そうですよね。実際倉庫内の被害も大変ですけど、片付けで作業ができないのも冬の収穫に向けてきついですよね。

大久保さん:そうだね。ただ、周りの若手農家もみんなそんな感じで疲れちゃってるから、あえてゴルフに誘ったり息抜きを作ることを心がけてるよ。この前は、笑い話になったらいいなと思ってかなりボロボロなヴィンテージのアストロ車を買ってみたり。買ったはいいけど走れなくて、しかも修理もできないかもと言われて、結局笑えない話になりそうだけど(笑)車も5台流されたからねぇ。最近やっと代わりの軽バンが届いて畑をまわれるようになった。
車とか資材とか買い揃えるだけでも、どんどんお金が出ていくねぇ。まぁうちの母親は、「むかし家が大火事になった時よりは全然ましだから、全く問題ないでしょ!」って言ってて、確かにそうだなと頷けたけども(笑)

 

—悲観的にならず、でも気張りすぎず、気長にやっていくスタンスが大切ですね。大久保農園の柑橘を楽しみにしてくれている人もいっぱいいると思うのでこの数ヶ月の遅れを取り戻しつつも、畑にできてくる果物たちをいかにもっと美味しく届けていくか、一緒に考えていくためにもTOKYO BINZUME CLUBはアイデア絞っていきたいですね!

大久保さん:何がいいかな?どんなのが作りたいと思う?

 

—まずは豪雨の被害をなんとか生き延びたこの200本のジュースが無駄にならないように販売していきたいですよね。あとはすぐ近くの大洲の醤油蔵の梶田商店さんが今回の豪雨被害に自分は地元で、かつ被害がない立場なのに何もできていなくて悔しいと言っていたので、ぜひ大久保農園と梶田商店とのタッグでポン酢を作りたいと思っています。どうですか?

大久保さん:ポン酢、それすごくいい!ぜひやろう、楽しみ!

この人が関わった商品