GLASS BOTTLE STUDIES

第1回 何度でも生まれ変わるガラスびん

これを読んでいるみなさんにとって、ガラスびんはどのような存在でしょうか。

日々の暮らしで飲み物や食品をいただく際の身近な容器であり、日常空間に花びんなどとして使われることもあれば、大切なものが仕舞われていることもあるかもしれません。

今回、「びん詰め」というコンセプトで、ガラスびんを容器として選んだTOKYO BINZUME CLUB。その魅力や利点について、改めて勉強してみることにしました。そして、読者の皆さまと共に、ガラスびんについて学んでいきたいと思います。それがこの「ガラスびん学」のコーナーです。

ガラス製びん工場・東洋ガラスでは用途に合わせて1000種類以上ものガラスびんを製造している

「ごみ」にならず、全てを再利用できるガラスびん

ガラスびんの起源は3000年以上も前のエジプトに遡ると言われています。日本へは16世紀にオランダ人によって鉄砲などと共に初めて渡り、現在の技術は明治維新を機にヨーロッパから伝えられたそうです。

現代の私たちの生活では技術の進歩により様々な素材が身近な容器として使われていますが、今日においてもなおガラスびんが重宝されているのはなぜなのでしょうか。

 

 

“ガラスびんはガラスびんに戻ることができる。
適切に扱えば100%再資源化されて
再びガラスびんとして生まれ変わります”

 

 

ひとつは、そのリサイクル率の高さ。ガラスびんは、高温で溶かすことで完全に繰り返し再生できるため、資源ごみとして出されたものは100%再資源化されて再びガラスびんとして生まれ変わります。ちなみに、家庭などから資源ごみとして出されるガラスびんは消費されたもののうち約6割と言われています。これは日本独特の資源循環システムが確立されているからこそ実現されることなのだそうです。使われたガラスびんが資源ごみとして分別して出されてさえいれば、全て再資源化することが可能です

一方で容器の価値として挙げられるのが、保存性と安全性の高さ。ガラスびんは、ほぼ天然素材のみで作られ、「地殻の組成に最も近い容器」と言われています。中身が他の物質に変化せず、その保存性は他の容器と比べても優れているのだそうです。

「ガラスびんはガラスびんへ戻ることができる容器」この事実、皆さんご存知でした??私たちも日頃身近に接していながらも、そこまでの努力が積み重ねられた容器だというのは恥ずかしながら知りませんでした。

 

ガラスびんはどのように
再利用されている?

TOKYO BINZUME CLUBとガラスびんは切っても切れない関係。そこでよりガラスびんについて知りたいと考え、ガラスびんを作っている製びん工場(東洋ガラス千葉工場)を訪ね取材をしてきました。まず皆さんにはガラスびんが作られる工程を見ていただきたいと思います。

【1】原料を調合する

ガラスとは、誤解を恐れずに言えば、地球上の岩石を溶かして、加工して、固めたものです。より正確に言うと、地球上の岩石の構成物の約60%を占めているけい酸塩という物質を溶かして固めたものになります。ガラスびんの原料は、そのけい酸塩(けい砂)にソーダ灰、石灰石、そして「カレット」を加えています。

ブルー系のカレットの山

濃色系のカレット

カレットとは、使用済みのガラスびんを再利用できる状態にまで砕いたもの。けい砂だけだと溶かすのに高温が必要なため、補うためにソーダ灰や石灰石、カレットが使われるのです。

 

“ガラスびんの原材料全体の75%以上が
再資源化されたカレットである”

東洋ガラス千葉工場では原料全体の90%以上()このカレットを使っているそうです (生産過程で出るものも含む)。業界全体でも、平均75%と昔に比べると使用率が上がっているのだといいます(カレットが使われるようになった背景については、「第二回 カレットとは? 再資源化のために私たちができること」で詳しくご紹介します)。

驚きの数字ですよね。現在作られているガラスびんは、そのほとんどが再利用された原料からできていることが、工場も見せていただき、体感としてわかりました。

 

ガラスびんの原料のひとつ、けい砂

天然原料は国内外から届けられる

けい砂は石灰石、ソーダ灰、そしてカレットと共に溶解炉へ

 

【2】高温で溶かす(溶解)

調合された原料を、溶解炉で約1400度もの高温で溶かします。

溶解炉内の様子。温度はモニター室で24時間管理されている。

【3】ガラスびんの形をつくる(成形)

ゴブと呼ばれるガラスびんひとつ分の熱されたガラスのかたまりが、金型に入りびんの形になります。

溶解炉から出たガラスの玉が、びんの形に成形されていく

【4】少しずつ冷やす(徐冷)

熱を帯びたガラスびんは急速に冷やすと割れたりひずみを生じてしまうため、時間をかけて徐々に均一に冷やします。

徐冷炉で一旦約550~600℃に温度を下げた後、常温まで徐々に冷やしながら形を整えていく

【5】あらゆる検査を行う

製びん技術の向上により高いクオリティで製造できるようになりました。徐冷後の検査棟では食品工場並みの衛保守環境が整えられ、あらゆる角度から精密検査を行なっています。ガラスびんの品質は、多種多様の形状と欠点種類に合わせた自動びん検査機を用いた検査により保証しており、数十年前から各種の自動びん検査機を独自で開発しています。

より高い品質を目指すため、人の目による目視検査も併用して、ガラスびんの品質を維持しています。また、自動びん検査機と目視検査で得られたデータをネットワ-クで結ぶことで、成形工程から検査工程までリアルタイムな情報収集が可能となり、工程異常を即座に把握し、迅速に修正や微調整をしていくことが可能です

様々な機械でガラスびんの形や強度などを検査する。欠点があるものはすぐコンピュータのデータに反映され、オペレーターで製造ラインへ反映がなされる。

熟練したスタッフが目視で欠陥品を取り除いていく

 

ここで取り除かれたガラスびんは、再び原料となって次の製びんに使われます。こうした工程を経て、安全性の高いガラスびんが作られているのです。

 

“機械ではどうしても
発見できない欠陥びんは、
人の目によって取り除かれています”

【6】梱包&出荷

完成したガラスびんは清潔な状態で梱包され、倉庫で保管された後、それぞれの納品先へと出荷されていきます。工場を出るその瞬間まで、人の目による抜かりないチェックを経て、ガラスびんは皆さんの手もとに届くのです。

どこを見てもガラスびんの倉庫は圧巻

カレットと私たちの生活に、よりクローズアップしてみます

赤く光りを放ちながら形作られていくガラスびんは、とても美しいものでした。天然の素材から、いくつもの工程を経て、ほんのわずかな歪みや汚れもないびんが出来上がっていく様子には感慨深いものがあります。

こうしてガラスびんが生まれ変わっていく様子を目の当たりにすると、日頃手に取るガラスびんがより身近なものに感じられますね。身近なガラスびんが、再資源化された原料から、高精度な製びん工程を経て作られていることを学びました。

それでは、ガラスびんが作られるにあたりキーとなる原料、カレットとはどのようなものでしょうか?また、カレットはどのような背景で使われるようになったのでしょう。

「第二回 カレットとは? 再資源化のために私たちができること」ではそうした疑問を紐解きつつ、私たち消費者にできることについても考えてみたいと思います。