GLASS BOTTLE STUDIES

第10回:「美味しさの価値」も作る。自家製マヨネーズ作りワークショップ

“Re-think Food

今この記事を読んでいる皆さんは、ふだん購入する、口にしている食材がなぜ、どのように皆さんのもとに辿りついたか考えたことはありますか?
通常、スーパーや八百屋などの一般的な量販店、小売店に陳列され売られている商品は「一定の規格や基準を満たしている」とみなされたものです。これに対して「規格外」「B品」に分類されてしまった食材というものも存在します。より効率的・合理的な売買が成立するよう販売規格を定めることは避けられません。しかし、少し見た目やサイズが一般的な流通に乗る基準に満たないだけで、美味しく食べられることに変わりないのではないでしょうか。

そもそも食における規格とはなんだろう?

「食べること」に対する私たちの関わり方とは?

TOKYO BINZUME CLUBでは、このように食にまつわる概念や価値を考え直す「Re-think Food(リシンクフード)」も活動理念のひとつ。販売商品ラインアップは、皆さんにも「Re-think Food」を体感するヒントとしてお届けしています。商品にとどまらず、「Re-Think Food」の課題を体験する機会を作ることはできないか?そんな思惑が実現し、「自家製マヨネーズ作りワークショップ」をFarmer`s Market @ UNUで開催することになりました。(2月24日開催)

[テキスト TOKYO BINZUME CLUB/ Farmer’s Market @ UNU]

 

Re-thinkを問う
農家と料理人の存在”

今回このワークショップ開催にあたり食材を提供いただいたのは、卵を生産する養鶏所「セオリファーム」の笹井さん。

 

宮城県蔵王の温泉町にある大自然の中で生産される卵。特に「じゅうねん卵」は蔵王が育む自然の恵みを十分に受け取り、農薬を使わないエサを食べ、太陽の元でのびのびと育った母鶏から生まれています。

笹井さんはFarmer`s Market @ UNUに出店した際に他の出店農家さんやお客さんからもらった「Re-think Food」を米ぬか、コーヒー粕などを自家配合し、鶏の餌として活用されています。コーヒー粕に至っては、一ヶ月ほど発酵させて栄養価を高める徹底ぶり。これらを全て笹井さんご自身で行われていることには感心するばかりです。

 

 

このほかにも販売時の卵パックとして再利用可能な紙を用いるなど、資源や廃棄されるものを養鶏所の運営を通して循環させる仕組みを作っている笹井さんは「Re-think」を問うワークショップにぴったりだと考えました。

 

 

セオリファームの卵の味を引き出す立役者としてワークショップの講師にお呼びしたのは、食養生研究家の塚本紗代子さん。

 

TOKYO BINZUME CLUBの商品のレシピ開発にも関わり、Farmer`s Market @ UNUの運営チームにもスタッフとして参加している塚本さんは、多くの農家さんと日々コミュニケーションをとったり、実際に農場へ足を運ぶこともしばしば。レシピ開発の際も、以前マクロビオティックの飲食店に勤めていた経験から、なるべく調味料を使用せず野菜の味をシンプルに引き出すことを心がけています。

今回は、セオリファームの卵を使った参加者一人一人のオリジナルマヨネーズ作りを企画していただきました。

 

“食材の背後に広がるストーリーを知り
生産者と料理人と同じ空間で調理する”


 

 ワークショップでは、最初にFarmer`s Market @ UNUのスタッフからセオリファームを実際に訪問した際の様子についてプレゼンテーションがありました。

 

スタッフが訪問して感じた一般的な養鶏場との一番の違いは、笹井さんが何百羽といる鶏たち一羽一羽に対し「人格を持った存在」として愛情を持って接すること。

例えば集団行動が好きな鶏、個人行動が好きな鶏…人間のように性格があって個性豊かな鶏たちの間でもイジメが発生するのだとか。そんな時、怪我をしたいじめられっ子を「チビ」と呼びながら事務所で面倒を見て、元気になったら養鶏場の方に戻すのだそうです。しっかりと愛情を受けて育った鶏から生まれた卵、美味しくないわけがありません。

 

次にセオリファーム笹井さんから、養鶏所と「規格外卵」について説明がありました。

卵は大きさや殻の色も千差万別。そのため、紙パックに入らずパック詰めにして売ることができない卵もよく出るのだそうです。今回のワークショップではこれら「規格外卵」を用いることになりました。

 

 

いよいよマヨネーズ作りに入る前に塚本さんからマヨネーズの作り方について説明。

 

 

マヨネーズは一般的に卵50gに対して100cc油を混ぜて作られるため、ほとんど油を食べているのと同じことになります。より健康的なマヨネーズを作り食べるためには、できる限り良質な卵と油を選び、手間がかかっても自分自身で作った方が本当の意味で「贅沢」かもしれない、と話す塚本さん。

 

 

自家製マヨネーズはガラスびんに詰めて冷蔵庫で約3週間保存可能です。ガラスはプラスチックに比べ食材の酸化・劣化のスピードを遅くすることができるうえ、匂いもつきにくい素材です。お土産として持ち帰りもできるように、ワークショップでもガラスびんを用意しました。

 

 

卵黄のみ使うレシピが主流のマヨネーズですが、卵白がフードロスとなってしまいます。今回は全卵を使うことにより、色味が白くより緩やかなテクスチャーのあるマヨネーズとして仕上げることに。また「良質な卵にできる限り良質な油を」という趣旨から、体にも負担が少ない米油を選びました。

 

 

卵と酢をボウルに入れたらハンドブレンダーで混ぜ、そこに少量ずつ米油を足して調整していきます。

ポイントは各食材を混ぜるタイミングと分量。油は少量ずつ入れることで分離を防ぐことができます。酢も分量をしっかり守ることでマヨネーズが固まります。

 

 

次第にボウルの中身にとろみが加わり、混ぜながら手応えが増えてきました。今回はここで終わらず、参加者一人一人にとってオリジナルなマヨネーズを作っていただくために、山椒、カレーパウダー等のスパイスをお好みで混ぜてもらうことに。

 

 

最後に、この日Farmer’s Market @ UNUにも出店していた農家さんから提供いただいた新鮮な野菜とともに試食。普段食べているマヨネーズに対して卵の味が濃厚、しかも思ったより簡単に作れると、参加された皆さんが口々にしていました。中には韓国から参加された方もいて、ガラスびんにマヨネーズを詰めて持ち帰り自宅で楽しむことができるのが待ち遠しいという感想も。

ワークショップ開催中、終了後も笹井さんや塚本さんと同じテーブルを囲みながら会話を交わす参加者のみなさんにとって、1時間半のワークショップは無添加のマヨネーズを作ることができたという事実以上に、食材の背後に広がるストーリーを知ることができた時間としても非常に有意義だったのではないでしょうか。

 

“日常の選択の前にふと立ち止まる、
考える=Re-think”

 今回のワークショップを通して、私たちFarmer’s Market @ UNUチームとしても改めて「美味しさの価値」ができあがっていくプロセスについて考える機会になりました。

例えば普段スーパーで購入する調味料を一から作る体験をとおし、日常生活の中のあらゆる選択を前に、ふと立ち止まり考える機会が生まれます。生産者の食材、それを生み出す動物の存在に対する労力や思い。原材料を把握し自ら調理をしたという事実。生産者やレシピ考案者と同じテーブルを囲み会話をしながら作った時間や状況について…

 

次第にそれらは思い浮かんだ考えにとどまらず、目の前に見えない背景への疑問につながっていきます。

他の食材、調味料を作っている人は誰か?どのように作られているか?なぜ同じ商品でも価格が違うのか?なぜこのレシピなのか?この食材が「規格外」となるのはどこからか?容器は再利用可能か、棄てるとどうなるのか?

目の前にあるもののストーリーを知り、それまでの「当たり前」を見直した時、人は初めて自分にとっての選択や行動の基準を作っていくものだと私たちは考えます。

 

 

「美味しさ」とは、食べたときの味の体験を指すだけでなく、そこに至るまでの過程で何が起きたかを知る・体験することで、奥深さと重みを増して噛み締めることができるのではないでしょうか。

口にする食材だけでなく、容器も同じです。ガラスびんは長期保存に向き、洗えば何度も再利用できます。リサイクルすればしっかり資源として循環していくことはこれまでの「ガラスびん学」で私たちも学びました。理屈をつけなくとも、ガラスという素材自体の美しさも心を豊かにするものだと思います。

皆さんも、自家製マヨネーズ作りを通して自分の身のまわりのものの背景、価値について考える=Re-thinkする時間を持ってみませんか。

蔵王にある養鶏場「セオリファーム」の自然卵でつくる
濃厚自家製マヨネーズ(約180g) レシピ

 

《材料》

・たまご 50 g (約1個)
・太白ごま油 100 g(その他のオイルでもOK)
・酢 17 g
・塩 2 g
・きび糖 4 g

+αお好みでスパイスを混ぜるのもおすすめです
(ペッパー、マスタード、味噌、カレー粉、わさび、ゆず胡椒 etc…)

《 作り方 》

  1. 大きめのボールに全卵・白ワインビネガー・塩・きび糖を加えて、ハンドブレンダーでよく混ぜます。
  2. 1に太白ごま油を20ml加えて、よく撹拌させます。さらに20mlを加えて撹拌させます。
  3. 少しづつ残りの油を加えて、混ぜていきます。油の量が増えると、固まってきます。
  4. 3に胡椒や+αの材料で味をつけて、最後によく混ぜたら完成。